2003-01-01から1年間の記事一覧

伊藤探偵事務所の憂鬱 58

空に大きな物体が飛んだ。空高く飛ぶ黒い影。 危ない 体中の警報が成った。 不思議なもので KAWAさんのほうに 反射的にしゃがみこんでナイフを構えた 後で考えると不思議なんだが、銃ではなくナイフを構えるのは絶対的な経験不足から来るものだろうか そ…

伊藤探偵事務所の憂鬱 57

雪の中にコンパスだけを頼りに歩き出した。 木の周りには、土が露出した部分があったが、一歩でも前に踏み出すと雪の壁が待ち受けていた。 自分の背より高い雪の壁に上るように進んでいった。 勿論、KAWAさんを おぶって。 見た目以上に重い。が、装備が…

伊藤探偵事務所の憂鬱 56

「KAWAさん、KAWAさん。 うわぁ〜」 木立の中にそのまま激突するように飛び込んだ。 進行方向に向けて体勢を入れ替えているので 後ろ向きにぶつかって行った。 KAWAさん:「うぐっ」 「大丈夫ですか?」 ぶつかった枝に弾かれ ぶつかった木の向…

伊藤探偵事務所の憂鬱 55

「どの辺に降りるんですか?」 KAWAさん:「さあ、降りれるところじゃない?」 「降下ポイントが決まっているわけじゃないんですね」 KAWAさん:「何故、山に下りると思う?」 「さあ、所長のいるポイントに近いからじゃないですか?」 KAWAさん…

伊藤探偵事務所の憂鬱 54

ぬりかべさん:「まず、ドアを開けたときに飛び出さないように何かにしがみ付いて」 ジャンプの装備の無い機体なのでフックを付ける所が無い。 飛ばないようにみんな適当なところにしがみ付く。 ぬりかべさん:「この後は、話はインカムでします。あまり遠く…

伊藤探偵事務所の憂鬱 53

arieさん:「ぼくー、おいたちちゃだめでちゅよー」 「いいからほっといてください!」 KAWAさん:「お願い、動かないで つけれないから」 僕の格好を見てarieさんが つつきに来る。 もうすぐ降下だ。6時間ほどの偵察コースの後半 4時間目程の…

伊藤探偵事務所の憂鬱 52

ぬりかべさんは、グリーンと黒の迷彩服に大振りなコート。僕は勿論持っていないから基地で適当なデザートカラーの軍服に着替えた。靴はジャングルブーツ。 ここで額に 鉢巻でも巻けば気合が入るんだろうが いかにも「ランボー」を見ましたといった コスプレ…

伊藤探偵事務所の憂鬱 51

昨日のことが頭に焼き付いて忘れられない。 枕元や、布団の中まで一杯に虫が入っていた。 かろうじて追い出して寝床に着いたが 電気を消すと何処からとも無くかさかさ音が聞こえてその度に目が覚めて 電気を付けて探す 探しつかれて眠ったのはおそらく明け方…

伊藤探偵事務所の憂鬱 50

KAWAさん:「はい」 KAWAさんが出した手にはお菓子が乗っていた。 KAWAさん:「さっき、ちょっとくすねちゃった」 「ほんとに良く食べますね」 KAWAさん「もばちゃんはたくさん食べる子嫌い?」 「その体のどこに入るのか不思議なだけです」 見ていて胸焼け…

伊藤探偵事務所の憂鬱 49

闇はその黒きマントを広げ全てを覆い尽くす。 白きもの、黒きもの、正しきもの、誤れしもの 太陽は、全てのものに公平である。故に 全てをあからさまにする。 豊かなもの、貧しきもの 闇は全てに公平である。 その罪すらも公平である。時々、廻ってくる灯台…

伊藤探偵事務所の憂鬱 48

勿論秘密裏な行動であった。 各人が目立ちすぎることが問題ではあった。しかし・・・・良く考えてみたらこんな馬鹿げた話を報告書に書いたエージェントがいれば信じるほうが可笑しいが。 とにもかくにも、すきま風こそ無いもののぎすぎすと椅子や壁に取り付…

伊藤探偵事務所の憂鬱 47

横須賀空軍基地から飛び立つ輸送機には おおよそ不似合いな男が二人と、女性が二人の 二組のカップルが乗っていた。 KAWAさんはいつも、何故か目立つ服装で 今日は黄色とオレンジのひらひらした服を着ているし、arieさんは、ララ・クロフォード まっ…

伊藤探偵事務所の憂鬱 46

arieさん:「で、おちゃらけた説明はいいから ここへつれてきてどうするつもり? 監禁? 暗殺?」 KAWAさん:「私に第三次世界大戦を引き起こせって言われても困っちゃいます」 西下さん:「秘密を知られたから 命を貰ったって」 西下さんはうれしそ…

伊藤探偵事務所の憂鬱 45

車は街中を抜けて 秋葉原のほうへ かなり外れたところに有る5階建ての古びたビル。“日本貿易商事 株式会社”まで行った。 KAWAさん:「さあ、ここからは地下鉄で私のお家に行くわよ」 言いながらKAWAさんは建物の中に入っていった。 古いコンクリー…

伊藤探偵事務所の憂鬱 44

KAWAさん:「ごめんね、言っても駄目だよね」 食べ終わった後 少しうつむき加減で言った。 「結構、自分でも楽しんでいるんですよ。実力が無いからですけど 考えるとみんな助けてくれているんですよね。捕まった時に偶然武器を持っていたり 偶然やくざの…

伊藤探偵事務所の憂鬱 43

KAWAさん:「甘いものが切れちゃった。 付き合って モバちゃん」 突然、KAWAさんが切り出した。 「あっ、はい」 何だろう、もちろん二人っきりでデートなんてことは 考えていませんでした。本当ですよ! 「ちょっと出て来ます」 arieさんは 未だ…

伊藤探偵事務所の憂鬱 42

arieさんとwhocaさんの話が続いた arieさん:「お願いだから “闇の王冠”と呼ばれるものがあるのなら教えて」 whocaさん:「・・・・・・」 arieさん:「黙ってないで、あなたは嘘を付けないんでしょ。だから何も話せない それは解りま…

番外編 伊藤探偵所長の苦労 4

今は3時、今の時間だとあの辺かな? 取り合えず無線は・・・・ 「はろー、こちら赤影 白影いるかい?」 西下さん:「はい、こちら白影 止めませんこの合言葉」 「しょうがないだろ、好きなんだから それより調べてくれないか」 西下さん:「おいしい晩餐会…

伊藤探偵事務所の憂鬱 41

宝石展が始まった。 事件が一部明るみに出て 「マスコミは謎のテロリストの狙う宝石」とか「百貨店分裂の危機 国際的御家問題」とか 部分的に見れば正しいが 見当はずれなタイトルを面白おかしくつけて騒ぎ立てた。 それに輪をかけて 宝石の英雄物語や何より…

伊藤探偵事務所の憂鬱 40

KAWAさん:「あーっ、先に食べてる!! ひっどーい」 話どおり KAWAさんがやってきた。 弁当は 何段ものおりに入った豪華な料理であった。まるでお正月のおせち料理のようなものだった。 おそらく、事件が始まる前にarieさんが頼んだもんだろう…

伊藤探偵事務所の憂鬱39

「ぬりかべさん、副社長に手を貸してあげてください」 秘書室長がいなくなった今 いくら悪いことをしたとはいえ副社長が気の毒になってきた。 青ざめた副社長を抱えあげた。 arieさん:「そして、動けないようにして首を締める」 なんだそれは、悪質な冗…

伊藤探偵事務所の憂鬱 39

電話が鳴った。正確には音が聞こえないので電話が震えた。 バイブレーターを発明した人に感謝した。 「もしもし」 しかし、僕は馬鹿だった。 電話が鳴るのも聞こえないのに会話が聞こえるはずも無い。 KAWAさんが替わりに出た。 KAWAさん:「・・・…

銃撃戦

伊藤探偵事務所の憂鬱 38もちろん、バンダナを巻く前に 30秒が立ってしまった。 “どん” 大きな音がして さっき書いた扉の絵にひびが入った。 最後に貼ったバンドエイドがわずかに遅れて爆発した。 ひびの入った扉が その取っ手の絵の部分に向かってひび…

伊藤探偵事務所の憂鬱 37

「これってどうやって使うんですか?」 恐る恐る、KAWAさんに聞いた KAWAさん:「うーんと、引き金指を入れて ばばばばーんって」 指で、ばばばばーんというアクションをしながら話した。 「違います どうすれば良いんですか これ持ってドアから飛び込めって…

伊藤探偵事務所の憂鬱 36

電話が改めて鳴った。 警察からの連絡である テロリストが副社長他 フロアーの人間を人質に取り立てこもったとの連絡があったとの事。 こちらでは聞いていないと返事したが すでに大手マスコミには全て連絡が入っていた。勿論、外からも確認できるように ご…

伊藤探偵事務所の憂鬱35

「今日はお日柄も良く お元気ですか?」 うまく下手に出る言葉が思いつかずに 落語の太鼓持ちのような言葉が出てきた。 社長:「お元気なわけ無いだろう 宝石を見つけるなんて 大きな事を言って見つけずに何のようだ?」 「それは・・・」 あえなく玉砕、壁…

伊藤探偵事務所の憂鬱 34

arieさん:「どう思う?」 西下さん:「いやな感じですね」 廊下を歩きながら二人。 arieさん:「あなたの担当よ 任せるわ」 KAWAさんの方に向かって言う KAWAさん:「か弱い女の子には向いてない仕事ですぅ おねがい!!」 ぬりかべさんを…

番外編 伊藤探偵所長の苦労 3

後日知ったのだが、その日 国宝である伝説の宝石が日本へ旅立った。 神官はその宝石を管理する責任があるので日本へ旅立っていった。 翌日に事件が起こった。遠くで銃声が聞こえた。 その銃声が次第に近くなり 耳元にまで迫ることになったとき事態の重大さに…

伊藤探偵事務所の憂鬱 33

男の怒りは その禿げ上がった頭の赤くなる様子から伺えた。 「僕のせいじゃないですよ!」 とりあえず 言い訳をしてみたが 聞いてないようだった。 男:「この、ごきぶりどもめ」 静かに、そして落ち着いた調子で言ったが 頭を見ればまだ怒っているかどうか…

伊藤探偵事務所の憂鬱 32

清掃作業員:「予想より一日早かったのは 活躍しすぎたせいか。手は出さない契約だが 少しぐらいお嬢ちゃんにてをかしてやるか」 夜の闇の中、赤い車が走り回る消防車 空き地のはずの駐車場で車が炎上した。 多くの大型施設にあるように 泗水栓が百貨店には…